• テキストサイズ

【ヒロアカ】血まみれヒーローと黒の少年【原作沿い男主】

第7章 アザミの家




「そ、そうだね! でも、君たちの個性も十分すごいよ! 今まで見たことのない個性だし、ヒーローでも他の職業でも活躍しそうだよね。色んな使い方ができそうだよ」


 出久の言葉に、桜は貼り付けたような笑顔を浮かべた。


「君は個性が好きなんだね。でも、」


 桜が笑んだまま前を向く。その寸前、彼女の猫のような美しい顔から、みるみるうちに笑みが失われていくのを出久は見た。鏡のような、まるで色のない冷たい表情がぬるりと彼女の顔を覆う。


「個性なんてそんないいもんじゃないよ」


 妙に抑揚のない声で放たれたその言葉の真意を、この時の出久は知る由もなかった。ただその言葉に先を歩いていた翔が少しだけ振り返り、静かに長い睫毛を伏せたのが――その光景だけが何故か、鉤針のように痛みを伴って胸の内側にぶら下がっていた。

/ 104ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp