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【ヒロアカ】血まみれヒーローと黒の少年【原作沿い男主】

第6章 謎の少年




「一ノ瀬くん、転校してきてから間もないが、もうすっかり1-Aの一員だな! 喜ばしいことだ!」
「う、うん……そうだね……」


 同じクラスの生徒・飯田天哉が腕を直角にして素早く動かしながら話すのに、出久は生返事をする。翔がこのクラスに馴染むことを手放しで喜べる位置に出久はいない。翔の素性も意図も何一つ明らかにならないこの現状では、疑心ばかりが膨らんで教室にいてもどうにも落ち着かない気分になってしまうのだった。





 ――あの対人戦闘演習の翌日。出久はオールマイトを空き教室に呼び出し、翔のことを相談した。彼がオールマイトと何らかの縁故があるのだと仮定し、何かの手がかりになればいいと彼の容姿や個性、戦闘能力なども含めて包み隠さず説明したのだ。


 しかし、オールマイトから返ってきた言葉は出久の予想だにしないものだった。


「ワン・フォー・オールの秘密を知ってる生徒!? 誰それ!?」

「ええ!? ご存じないんですかオールマイト!」


 事の次第を聞いたオールマイトが顔を青ざめながら言うので、出久は思わず驚きの声を上げた。どう見ても未成年の翔がどうやってワン・フォー・オールの秘密を知ったのか見当さえつかなかった出久だが、いざオールマイト本人さえ分からないと知ると、堰を切ったように疑心と不安が胸中をせめぎ合う。


「じゃあ、一ノ瀬くんは何でワン・フォー・オールの秘密を……?」

「私の知らない、私の秘密を知っている人物か……うーん……」

 二人そろって向かい合い、腕組みをしながら考え込む。


「聖火のごとく受け継がれてきた、人に譲渡可能な個性で、その事実はごくごく一部の人間しか知らない」という以外にワン・フォー・オールの知識がない出久には、推測できることなどさして多くはない。それでも何とか知っていることから可能性のありそうなことを考え出してみる。


 オールマイトが把握していない、ワン・フォー・オールの秘密を知る少年。そこには必ず秘密を知り得た何らかのいきさつがあるはずだ。オールマイトが信頼し、自ずから秘密を話す以外に、それを知る、方法。


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