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【雑多作品置き場】short story

第12章 【ハイキュー】HATE YOU【澤村、及川】


「「「キャーーーーー!!」」」

踏み出したと同時に聞こえてきた割れんばかりの黄色い叫声。
彼女達の視線は一心にゆりなに注がれていて首を捻る
私はいつから、こんなに女子に人気が出たのだろう?
見当違いな疑問を浮かべた時だった。


「あれー?ゆりなじゃん」


頭の上から、一番聞きたくない声がする。
背中をつぅ…っと汗が伝った。


『とぉ…る』


バクバクと鼓動が早まるのは、決してトキめいているからじゃない。動悸だ。嫌悪による、激しい動悸。

ーー胸がデカいから付き合ってるだけ。

笑顔で話すあの日の姿が鮮明に思い出せる。
忘れたはずの、切り捨てたはずの記憶


「あれ、口付か?」
徹の後ろから岩泉先輩が覗く、その後ろには国見と金田一…
あの日以来見ることのなかった面々が一同に傷を抉りに来たみたい。


『……』

何も言えずに立ちすくんでいると、手に持っていた箱を、徹にひょいと取られて
何回も結び直したリボンはいとも簡単に解かれる


『ちょ…!それ、』

「へぇ、チョコバーか」


私が手を伸ばすより早く、口に運ばれてしまった。
大好きな大地先輩のために作ったチョコバーが大嫌いな徹の、嫌味なほど整った口元に消えていく。


「んー…悪くはないけど、手作り感ある
ガキっぽい

ってかさ、髪切った?
それあんま似合ってないよー?
俺と別れてブスになったねぇ」

笑いながら綺麗な手で髪をぐしゃぐしゃってかき混ぜてくる。
長い間思い出さないようにしてたから、忘れてたけれど、
及川徹はこういうやつだ

別れて初めて…ううん、大地先輩に会って初めて、今まで徹に酷いことを言われていたって気づいた。

文句を言ってたくせに、また新しいチョコバーを口に運ぶ


私は、もう、我慢できなくなって
徹を睨みつけた。

『それ…返し…』
「女の子に、ブスはないんじゃないか」


抗議しようとする私の声に重なって聞こえて来たのは


『大地…せんぱ…』

…私の大好きな、この声…
斜め後ろを見上げると、正義感の溢れる顔で徹を見つめている。
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