第12章 【ハイキュー】HATE YOU【澤村、及川】
私が好きな人は、優しくて、大らかで、頼もしい…
『だ、大地先輩!』
駆け寄ったら、振り返ってとびきりの笑顔をくれる
「おぅ!ゆりな、今帰りか?」
身長差約20センチ
軽くヒジを曲げてポンと頭上に乗せられる手のひらに、胸がギュンギュンときめく。
私は好きだって感情を隠したりしない。
『明日の、親善試合見に行っていいですか?』
「来てくれるのか?嬉しいよ」
ほら、また心臓が締め上げられる。喉元までせり上がってきたみたいにトキメキがとまらない。
「うちのバス、乗っていくか?」
大地先輩はそんな嬉しい提案までしてくれるけど、私は部外者だから
両手を振ってお断りする。
『いえ、お兄ちゃんが車で送ってくれる約束なんで!』
スタバのフラペチーノを1杯奢る約束で買収済みの兄を思い浮かべて、
だから、大丈夫ですよ。と付け加えた。
「そうか、じゃあ明日、青城でな」
またその笑顔だ
私の心を鷲掴みにする。
少し焼けた褐色の肌、太めの眉、大人っぽい、頼りがいのあるどっしりとした雰囲気。
ゆりなは両手を胸でしっかり握って、去っていく澤村の背を見送った。