第8章 ビバ中忍試験!命短し走れよスパイ!
そのほうがいいだろう、私は手を挙げようと腕を動かす、瞬間、彼が肉薄してきた
「んぎゃっ!」
変な声が出てへんなよけ方をした、後頭部を打ち付けて頭が痛い、だが彼の攻撃はやまなかった、地面に転がった私を容赦なく追撃する、足技でもなんでも使って必死にいなして体勢を立て直すが猛攻が止まない、いつまで続くんだと頭の中でぼやいてしまったその瞬間ふいに彼の手が私の肩に触れた
まずい、と思ったのも束の間耐え難い痛みが腕を貫く、降参用の腕がやられた、マジかこいつやりすぎじゃないか?攻撃を避けきってこちらも攻勢に踏み込む、腕一本で体を支えて足技でも見舞いしてやる、まったくもって見苦しい戦いだ、お目汚し失礼しますよほんと、だが足まで切るほど彼も冷静さを欠いてないらしい、いや、か弱いネズミをいたぶる猫だろうか
「声も出さないなんて、健気じゃないか」
肉薄した彼が薄く笑う、痛ければ痛いほど鳴いたらいけないんですよと心の中で思いながらたれた片手を拾ってうまいこと印を組む、まだそんなチャクラが、と上から声が降ってきた、ねーよそんなチャクラ、写輪眼開いてないの見えねーのか
印はフェイクだ、虎の印を組めばカブトは自分をかばうように腕を前にやる、そこが隙だ
足払いをしチャクラを足に込めて体当たりをする、もみくちゃになって倒れたあと、私は彼の首にクナイを突きつけた
ヒュー、ヒューと自分でも笑ってしまうような変な息がでる、会場が息を飲んだ
「く……」
彼の視線がまだ終わっていないとくすぶる、私はなけなしのチャクラを全部写輪眼にぶち込んだ、落ち着けよというメッセージ付きの幻術も込みで、おそらくここで幻術が来ると思っていなかったのだろう彼は一瞬で落ち着く
「…………わかったよ、降参だ」
幻術にかけられたのを理解したのか、彼はふー、と息を吐いた、私は何が来るか怖くて慌てて離れる、だけどみっともなく尻餅をついてしまった
も、もう体が動かん
「こほん、では、勝者は、うちは」
ナルトのやったーー!!という声が聞こえて、私は意識を手放した、チャクラの使いすぎだ
カカシが下りてくるのが見える、ありがてえ