第8章 ビバ中忍試験!命短し走れよスパイ!
「ったく、救いがたいな」
呆れ顔のサスケにサクラとナルトはうなだれていた、私はカブトを見て周りの森に視線を移す
「ルールを無視したものは必ずリタイヤせざるを得ない状況に追い込まれる」
カブトが何でもないように言ってみせる、漫画の方はどうだったかなぁ
「ところでカブトとか言ったな、こんなとこ一人で何ウロウロしてんだ」
サスケが若干の敵意を滲み出しつつ言う
「別に君たちの巻物を狙ったってわけじゃない」
カブトはに、と笑った、相変わらず塩っぽい顔をしてるものの隙のない立ち姿は変わらない…癖だろうか?私はポーチに手を入れる
「だろうな、もしその気ならさっきナルトから奪い取れたはずだからな」
それからサスケは思案するように眉を寄せ、あんたも狙いは天の書ってわけか、と
「いや、僕はもう揃ってる、いろいろあって仲間とはぐれてね、塔付近で待とうと思うんだ」
巻物を二つ見せた、まぁカブトさん程の実力があればこんなへっぽこ試験へでもないだろうよ、去ろうとするカブトに、サスケは地を這う声で勝負しろ、と吐いた
ナルトが驚いた顔で、なにいってんだってばよとカブトを擁護する、いつもはサスケ肯定派のサクラでさえも引いているようだ
私はいいと思うがねと心の中で呟きつつカブトを見る、不意に目があった
「うそだね、君は自分で言っているほど心を徹しきれていない、もし君が本当にこの試験にシビアになりきれるのなら僕に勝負を挑む必要はない」
彼は肩を押さえて薄く笑った、サスケも図星のようで低く唸っている
「わざわざそんな宣言をせずに、僕が油断している隙に襲えばいいのさ、彼女みたいにね」
ふいに私にスポットライトがあたり思わずわななく
3人、いや4人の視線がこちらに向いた
「そう敵意を向けないでくれないか?僕は敵じゃないんだ」
しん、と間があって、私は思わずため息をついて後ろで握りこんでいたクナイを取り出す
「お、おい!!」
ナルトが驚いたように声を上げる
「どうやら君はよっぽど忍者らしい忍者みたいだ」
私は苦笑してごめんって、とクナイを戻した
「話が長引くようなら早く塔を目指したかったんだよね、ごめんって」
「構わないよ、後ろから刺さなければね」
まさか、と笑ってカブトと視線がかち合う、ちょっと試すつもりだったけど、うーんやっぱり隙がないな