第1章 死ねないんですか?
といってもイタチだって何も好きで一族を大虐殺したわけでもあるまい、彼には彼の事情があり、殺らなければ自分の守りたい物を守れないのだ。可愛そうだとも言う、それこそ犠牲の犠牲になったのだ、私はイタチを見る、彼も私を見てたようで目があった
「…どうかしたか?」
私から目を合わせることはまずないので、彼も少し驚いたのか不思議そうな顔をしている
……私は生き残りたい、だが、一人でも取り逃がせば、サスケは死ぬ
やっぱりイタチとは戦わないといけないのだろうか
「なんでもない」
しかし美少年だなとひとしきり眺めたあと私は積み木を崩す、その音でサスケが少し身じろぎしたが起きる気配はなさそうだ
戦うとなったとしても、やはり私に勝ち筋はない、ならば今のうちから逃げに徹するしかないのだろうか
積み木を積み上げる。だめだ、情を移してはいけない、サスケ以外は、全て物、喋る肉塊だ………それはちょっとグロテスクだな、とひとりごちた
「そうだ、今日からの両親は遠征なんだよな?」
イタチは思い出したかのように話を振った
え?そうなの?という顔をすると聞いてないのか?と声が帰ってきた
そら、家庭内のコミュニケーションとかないようなもんだ、両親も落胆してるに違いない
子供が生まれたら明るい家庭になるに違いないと思いを馳せていたのに、生まれてきたのは落ち着き払った気味の悪い子供だ、生まれてまだ少し経ってないのに両親揃って遠征に出かけてしまってもいいと判断されるほどの
「うん、あんまり喋ってないから」
その答えにイタチはこれまた不思議そうな顔をした
「まぁ、が泊まりだとわかればサスケも喜ぶだろう」
両親の遠征はこれが初めてじゃない、一日ぐらいならひとりでも過ごせるのでそう言ったらサスケのお母さんは私を無理矢理にでも泊めたのだ。まったくもってありがた迷惑な話である、サスケがとんでもなく喜んでたからまぁいいかと割り切ったが
もしかしたら育児放棄?なんてサスケの父親は言ったが私をよく預かる奥さんはそう判断しなかったのだろう、すぐにわかるわと切り返していた。そんで、私の手のかからなさを見て納得したのだとかしてないのだとか……。何はともあれ今日からしばらくはお泊りらしい、着替えを家から持ってこなきゃな