第5章 え?スパイになるなら生かしてやる?誰だお前
さて、と、資料を読み込む、私の資料には詳しいことは書いていない、ただ暁の中の階級としてはかなり高い位置にいるようで、年齢は偽りだ、顔写真これいつとったんだろ?名前も苗字は偽りだ、プロフィールに関しても元岩隠れと書いてある、適当すぎでしょ
イタチの方はほぼ偽りはない、うわ、トビの資料まで作ってある……これ、かなりやばめの機密文書だよな、というかこういう資料にまとめるタイプなんだ…以外かも
椅子に背を預ける、ぎし、と音を立てて背が歪む
それから少しばかり資料を流し見したあと、炊飯器の呼び声に誘われお米の様子を見る、うん、かなりいい感じだ
しばらく使ってないであろうフライパンを壁から取って火にかける、油を引いて、材料入れて、諸々しばらくすれば、チャーハンが出来上がった
うんうん、我ながらかなりいい出来だ、味見をしてお玉を取り出す
「何をしてる?」
ふと後ろから声がかかって振り向くとお面が立っていた
「お昼作ってるの、食べる?」
「いい」
「まぁそう言わないで、毒とか入ってないから」
そう言ってお皿に取り分ける、オビトはそれを黙って見ていたが、そこで突っ立ってるだけなら手伝って欲しい
言わないけど
机においてお茶も準備する、よし、と席に着いたところで、未だオビトはキッチンの入口にいることに気がついた
「どうしたの?食べないの」
聞くと、少し唸り、彼の赤い目が私を捉えた
「何を考えている?」
「え?お腹減ったなぁって」
……そういう話じゃないの?と見上げれば、盛大にため息をつかれた
「俺はお前の身内の仇だぞ…いや、それはイタチだが」
はいはいワロスワロスと思いつつ席につくのを促す
「いただきまーす」
最初こそ手を付けなかった彼だが、私が食べてるのを見て害はないだろうと判断したのか、渋々スプーンを手にとった
は、として私は思わず仮面を見る
「……なんだ?」
「いや、そういえば顔、見たことないなって」
「下を向いて食事に集中しろ」
あっそれは!と思うまもなく私の視線はチャーハンに釘付けになる
視界の端で彼がお面を置いたのを見た、なんてやつだ
食事を食べ終わって彼がお面をかぶり直したところで私の視界は自由に動くようになった
「卑怯…」
何の話だとでも言いたげに彼は私を見た、ええいこのこの