第5章 え?スパイになるなら生かしてやる?誰だお前
溜息とともに声が聞こえて私は首を回す、オビトだ
「いや、何かなこれと」
前は教えてくれなかったし、と言って私は席を立つ
「あまり詮索はするな」
「見えるところに置いといたら気にならない?」
ん?と言うと、やはり彼はため息をついた
「大人しくしてろ」
そう言われると、私はそうする他ない、彼の言葉には絶対服従なのだ
この命令についてわかったことがいくつかある、まずなにか行動を起こすような命令でないと無理だ、さっき言った大人しくしてろ、というのは大人しくするという行動を実行しろという命令で私は従わないとならない、だけどその前の詮索はするな、という言い方をするとしないことをするのは無理なので命令にはならない、何もするなという命令はできないらしい、だから何もしてない時には大人しくしていろと言わなければ実行されないのだ
あと、私の心に直接作用するような命令も無理だ、何を嫌いになれとか言う命令とか、それから抽象的なモノ、例えば里を裏切れとか言われても無効だ、里を裏切るために火影を殺せとかなら有効になる、なかなか制約が多いのだ
それでも彼は満足してるみたいだけど
抽象的な命令、例えば大人しくしていろ、というものになると、大人しくしているの定義が私依存になる、これはおとなしくしてると私が判断すれば多分どんちゃん騒ぎもできる
「結局暁って何?」
声をかけるも無視を決め込むつもりなのか返事をする気配がない、よくよく見れば見たことない顔もあるってそういえば元は犯罪者集団じゃなかったんだよな、その残りだろうか?なんの気なしに資料を眺めていると不意に私の写真が目に入った
「お面さん、これなに?」
「見ればわかるだろう、暁のメンバー候補だ」
「いやいや、なんで私がいるの?スパイだよね?」
顔知られていいの?といえば、大人しくしてろといっただろ…というため息つきで返された
おとなしくしてるじゃん
「内部に顔を知らせておくための資料のようなものだ」
私はへぇ、と紙を見る、そういうもんか
時計を見るともうそろそろ晩飯時だ、こっちで食べようかな
「お面さん御飯って食べるの?」
彼の横に一瞬で出る、あまり瞳術の無駄遣いはするなと咎められるが気にしない
「一緒に食べたいって言ったら迷惑?」
「迷惑だ、帰れ」
その一言に私は一瞬で家に戻される
……連れね~