第5章 え?スパイになるなら生かしてやる?誰だお前
目が覚めると、病院の天井が見えた
慌てて飛び起きる、体の中の違和感はすっかり鳴りを潜めて、さっきまでのことが夢なんじゃないかとなんとなく思った
オレンジの仮面はうちはマダラ、と呟こうとするが声はでなければ口も動かない、うん、夢じゃない…っていうか、そんな便利というかご都合主義というか、そんな術あったの…?
部屋を見渡す、大部屋のようだが人は少ないようだ
隣でサスケが寝ていた
………えっということはここって木の葉?
それからしばらく混乱した頭を沈めていると、サスケも起き上がった
「……?」
まだ頭が痛むらしく、う、と自分の頭を抑えている
「大丈夫?」
声をかけると、サスケははっとして顔を上げた
「そ、そうだ、兄さん、兄さんが!みんなが」
自分にかかる布団を剥いでベッドを降りる
「サスケ」
「、こんなところで寝てる場合じゃ……」
「サスケ」
「寝てる場合じゃ………あ…どうして」
「もう終わったんだよ」
彼が不思議なものを見るような表情で私を見た
おわった?とサスケが小さく呟く
なんとなく、この時になって私はようやく時が進んだことを理解した
「君たち、起きたのか」
突然声が割って入る、見れば知らない大人の忍者が数人、部屋に入っていた
「辛いと思うが話を聞かせてくれないか」
「辛いって、なにが」
サスケは未だ状況が飲み込めていないようだ、無理もない
「あのうちはイタチがうちは一族を殺して回った話だ」
それから、サスケはろくにくちも聞けない状況まで弱った。私も弟が死んだこと以外知らないで、有力な情報はおそらく何一つ得られなかっただろう
それからしばらくの歳月が過ぎ、サスケは原作のように鋭利な性格になり、私もうちはの腫れ物に触るような扱いに嫌気が差してきていた
それでも子供というのは純粋なもので、私はそれに何度も救われた、もちろん、サスケの幼馴染ということもあり多少の嫌がらせは存在したものの、それを気にして泣き喚くほど子供でもない
「、帰るぞ」
カバンを肩にかけたサスケのあとを付いていく、サスケは私をうちはだからという理由で何かと気にかけてはいるが、お互いがあの日を境にどこか変わってしまったことに薄々気づいている