第5章 え?スパイになるなら生かしてやる?誰だお前
「…暁…って…?」
ナ、ナ、ナイス私~!よくその言葉が出た、あ、暁ってあの暁!?とか返した日には返事を聞くまでもなく72時間コースだ、いやオビトは使えないんだけど
帰ってきた返事はお前が知る必要はない、だったけどまぁよしとしよう、まぁ簡単な話これは脅しだ、入らなきゃ殺すし入るなら殺さない、単純明快で結構結構、寝耳に水なことには変わりないんだけど
となると答えも自ずと単純になる、私に残された選択ははいかイエス、さてどっちを選ぼう
「………下らせていただきます…」
仮面の奥でくつくつと笑う声が聞こえた
「そうだな、今からスパイとして育て上げるのは中々骨が折れる」
ならば、彼は私の体の上に手を置く、いやに生暖かい人肌の体温が皮膚を伝う
「俺はお前の命の恩人だ、そうだろう?」
なにかが入り込んでくる、何を言ってるんだ
「そういうのって、自分で言わないでしょう」
顔をしかめて言い放つ、確かにそうだな、という返事に心は微塵もこもっていなかった
何かが入り込む、気持ちが悪い
「なにを、してるの」
目頭が熱い、これが万華鏡ってやつなのだろうか
「これでいい」
不意に体が動くようになって、私は飛び起きる
腹をさするが違和感はぐるぐると体を駆け巡るだけで害はないようだ
「少し特殊な術をかけた、成功するかは賭けだったが」
なにを、と言おうとしたところで彼が声を上げた
「横になれ」
は?と思ったところで、不意に体がまたいうことを聞かなくなっていることに気がつく
それどころか彼の指示通りに横になろうとしてるではないか
必死に抵抗するが、油差しを怠った機械のようなぎこちない動きで結局私は横になった
「まぁ、こんなものか」
えったんまたんま何がこんなものなの?
「ちょっと、なにこれ」
「言っただろ、特殊な術だ、起きろ」
言われると同時に私は起き上がった、ええええ?
「今からお前を里に返す、お前の目から入る情報は全て俺にも入る、しっかり情報収集するんだぞ」
え?は?ちょっとまって?
「私をスパイに仕立て上げるつもり?」
「言っただろ、今から育てるのは骨が折れるってな、急ごしらえだが」
ていのいい忍術もあるだろう、まぁ誰にでも効果があるわけではないが。オビトは笑った
いや、えっ?マジ?