第4章 ところでとうとうヤツが来たんだが
もう何回も何百回も何千回も何万回もこの夜をやり直した
何度やっても何をどうしてもどうあがいても弟は死んだ、火影亭に逃げ込んでも、里の外に逃げ出しても
私の避けスキルは格段に上がった、そりゃもうやり直しをしすぎてイタチの一挙一動の癖を理解してしまったのだ、それだけの回数を重ねても弟は死んだ
そして気づいた、気づかないふりをしていることにも限界で、私はついに自責の念に耳を傾けてしまった
「?」
サスケが顔を覗き込む
「ごめん、アカデミーに忘れ物した」
何度も何度も、この事実と向き合うことを避け、こんなことは認められないと言い聞かせてきたが、もう限界だ、何もかもがこれ以上を望んでいないのだ
私が何度もやり直すことによって弟を殺している
私が何度もやり直すことによってイタチにすべてを殺させている
サスケが去ったあと、私は顔を覆った、どれだけ私が心を砕いても、それは私のエゴでしかない、私はどうやっても弟を助けられず、それは毅然と変わらない事実でしかない
こんなのは認められない、その事実に気づきかけても私は見ないふりをして、弟を殺した。この世界はイタチが里のみんなを殺すところで何十年も停滞を続けている、こんな世界は間違っているのだ、私は、弟を諦めなければならない、なのに、どうして
そう、諦めきれないんじゃない、こんなのは、もはや執着でしかない、どうやっても死ぬ、どう手を尽くしても死ぬ、私がどれだけ痛みを感じても、私がどれだけ自害しても、そう、もとより弟が生き延びる道は用意されてないのだ
のそのそと歩き出す
うちはの門をくぐって、寝ているサスケには目も呉れず、私は何千回も歩んだ物置部屋への道を歩む、ドアを開けるとむせ返るような血の匂いが私を包む
嗅ぎなれた匂い、何度も見た死体、何度も呼んだ名前
私が、何度も殺した子
「ごめんね薫」
涙はもう出なかった、心が乾ききっている、死んだ薫も、またやり直せば生き返るのだと、心の奥底で何かが囁いていた