第4章 ところでとうとうヤツが来たんだが
それからカカシは自分の報告を終えて、私たちを残して去っていった。薄情だと思わないでもないが忍というのはそういう仕事だ、まぁなにはともあれ私達が生き残るのなら問題はない
「して、お主らどうやってここまで逃げてきた、イタチはそこまで迂闊な男ではあるまい」
「繁華街を通って、さっきの忍者に連れてきてもらいました」
火影様は目を細める
「イタチの任務は極秘のはずじゃ」
「隠れていたんです、期を見て裏口から逃げました」
それから尋問のように言葉を交わしたあと、彼は息をついた
「すまない、お主らを匿ってやりたいのは山々なんじゃが、今のワシにはそれはできない」
悲痛な面持ちで、死刑宣告付きで
ああ、そんな、嘘だ、だったら私は今まで何のために、どうして
「どうして」
思わず声に出る
「あやつが許すまい」
私は思わず泣いて弟を抱きしめた、何回やり直したと思ってるんだ、なのにこんなのってあんまりだ
「せめて、せめて薫だけでも、お願いです」
弟が死のうが生きようが、私が死ねば全てが戻る
「……よかろう、一晩だけじゃ」
私は弟を強く抱きしめる
「薫、一人でも生きるのよ」
「姉ちゃん?姉ちゃんは?」
私は体を離す
「大丈夫、すぐ戻るわ」
頭を撫でて笑う、本当?と弟が訝しげに私を見た
「それじゃぁ、よろしくお願いします」
「………」
きっと、後にも先にも火影様がここまで苦しそうな顔をするのは見れないだろう、火影というのも、ままならないものなんだな
繁華街に佇んで、これからどうしようと眉をひそめる、この繁華街も人がいなくなるのは時間の問題だ、だがあの男は必ず来る、道端にしゃがみこんで頭を抱える、私が今晩死ねば何もかもが終わりだ、だがこの一晩、この一晩を乗り越えられればそれが勝利、この一晩は何年も繰り返されている、こんなチャンス二度とない
ここで成功させなければ、ここで
しかしここからどう逃げる?そうだ、この件を知らない忍者を巻き込む、これが最善策だ、無駄にことを大きくすれば流石のオビトも手が出せまい、そうと決まればで私は詰所に向かう