第4章 ところでとうとうヤツが来たんだが
私が家に着くと同時に薫は殺された
私が前方に気を配ってるうちに薫は死んでいた
お面と全力でやりあって死んだ
イタチと全力でやりあって死んだ
二人を相手にして死んだ
薫が転んで、庇って死んだ
私を、庇って死んだ
少しのミスで、愛しい弟が死んだ
何度も自害した、何度も何度も
「薫、逃げるよ」
走って家に帰った私は物置部屋の弟を連れ、ようやく繁華街に出た。オビトはやばいぐらい強かったが、試行回数を重ね強運を無理やり引き寄せた私の勝利だ
弟の手を引き繁華街を練り歩きながらうちはの家紋の入った服を裏返す、これから任務報告だという忍者たちのすぐ後ろを歩く
「ん?おいおいこんな子供が歩いてていい時間じゃないぞ?」
気づいた忍びが私に声をかける、久しぶりにうちは以外の人間と話した気がする
「ほ、火影様のところにいきたいの」
なるべく無知を装って弟を抱きしめた、ボロボロの格好を見て何かを察したのか、どうする?と仲間内で何かを話す
「…あ!おーいはたけ!」
仲間内の一人が声をかける、はたけ?と視線を向けると向こうで白髪の男が手を振り返した、青年といった言葉が似合う彼がこちらに歩み寄る
「なに、お前らまだ報告行ってないの?」
気の抜けた声が聞こえて、いや子供が、と忍者の一人が話す。すごいナチュラルに出てきたけどどこからどう見てもあのはたけだ、なんならカカシの方の
「迷子?」
「なんでも火影様の所に行きたいとか、カカシ今から火影様のところだろ?」
「ちょっと、決め付けないでよ」
「違うのか?」
「そうだけど」
はー、とため息をついてカカシが私と薫を見る
「君たち、名前は?」
「私は、こっちは弟の薫」
薫は私の後ろに隠れる、それを抱きしめて私はカカシを見上げた
「お願い、火影様の所に連れて行って」
んー、とカカシが息をつく
ボロボロの私たちを見てなにか察したのか、わかった、とカカシは息をついた
やった、やった、やった!!!内心で思わずガッツポーズを決める。生き残った!私と薫が!
「ありがとう」
喜びで声が震える
薫の手を握り締めて、私達は火影亭に向かった