第4章 ところでとうとうヤツが来たんだが
「早く帰ろう」
私の元気のない声を聞いてサスケは不思議そうに首をかしげる、だけど走り出すとそれも気にならなくなったのか、お互い無言でうちはの門をくぐった
家に入って物置を開け薫を引っ張り出す
「薫、逃げるよ」
「ね、姉ちゃん?」
裏口から雑木林に入り分身を出して先行させる、薫が一人じゃ朝まで生き残れないなら私が一緒にいて生かせばいい、至極簡単な話だ
「姉ちゃん、これ、なに?」
この惨状のことを聴いてるのだろう、私は息を潜めて返す
「ゲームだよ、知らないの?」
にこりと笑う、疲れた顔をしてたからかあまり説得力はなかったようだけど、弟は無理やり納得したのだろう、どんなゲーム?と声を潜めて聞いた
「誰にも見つからずに火影亭に行くゲーム」
笑うと、弟は少しだけ目を輝かせた、不安そうな色は鳴りを潜め、ゲームに集中し出したようだ。先行した私が穴に入る、ぼふん、と音がしてオビトに殺されたのだとわかる、不意に木の板を黒い影が通り越した、それから少しまって私と弟が小さい穴から区画の外に出る
この時間、飲食街の方は任務帰りの忍者でごった返しているはずだ、そこから火影亭を目指そう
弟の手を引いて走り出す、しばらく走ったところで後ろからガサガサと追いかける音が聞こえる
「わっ」
ぐん、と引っ張られて足を止める、弟が転んだのだ、今はまずい、と思うと同時に、ひゅ、と音が聞こえた
慌てて弟をかばうように背中を丸める、背筋に手裏剣が突き刺さった。背中は鈍感にできている、まだ大丈夫だ
「ね、姉ちゃん」
「すぐに追いつく、早く行って」
背中を叩いて送り出すと、弟は頷いて走り出した
よかった、手裏剣は見えていなかった
追いかけてくる音に目を向けて私は写輪眼を開ける、すぐそこが繁華街だ、弟は逃げ切れるだろう
「小賢しいガキだ」
声が聞こえて視界が歪む、そんな簡単にやられてたまるか、背中に刺さった手裏剣を半ば無理やり抜いて迫るオビトに手裏剣を振りかざす、まるで何もないようにすり抜けるが私は腕を振り抜かずに彼の頭の中心で腕を静止させた
オビトの動きが止まった、私の腕が埋まってる間はすり抜けモードだから私を掴むに掴めまい、困惑した息遣いが雑木林に響き渡る