第4章 ところでとうとうヤツが来たんだが
「早く帰ろう」
そのあと、私はやり方を変えて趣向を凝らして何度もやり直した、だが自分は火影亭につくまもなく見つかる
どうしたらいいんだ、自分ひとり逃げ切ることもままならない、イタチとオビト相手に歯向かっても見たが話もならず私は何度も殺された
うちはの門をくぐり薫に何度目かのゲームを仕掛ける
影分身をしてみるか、分身を雑木林の穴に向かわせ私は同じく雑木林を抜けてうちはの門に向かう、アカデミー側の門には誰もおらず、私はそこを急いで飛び出す、しばらく走ったところで公園の生垣に身を隠し息をついた
ようやくだ、ようやくうちは区画を抜け出した、既に試行回数は100もくだらないだろう、ここで息を潜めていればおそらくイタチはあのまま里を抜ける、その後どこかで隠れてる弟と合流すれば任務達成だ、問題は
「まだ生き残りがいたか」
このお面野郎だ
後ろから声が聞こえて私は生垣を飛び出しクナイを構える。分身も消えたらしく記憶が入るが、ほぼ同時時刻に向こうもオビトにやられた記憶があるようだ
「ふん、分身か、小賢しいな」
小賢しいのはどっちだ、もはや真の敵は彼ですらある、彼さえいなければこんなにやり直す必要すらなかった
「……計画が漏れたか?いや、それにしては」
なにかブツブツ言っている
「それにしても、うちはの子供は優秀なのが多い、非常に惜しい」
私の写輪眼を見て手を鳴らす
「このガキも開眼したな、身内だろう?」
彼の手元が歪んで、薫が姿を現した
「薫!」
声を上げて駆け寄ろうとするが、オビトによって阻まれる
蹴りで振り飛ばされた私は一回二回跳ねて止まった、全身を擦りむいたが痛いと泣いてる場合ではない、顔を上げて薫を見る
「……あ」
息を、していない、瞼から乾いた血が見える、おそらく眼を抜かれたか
ぞ、と全身が粟立つ、何度も繰り返していたが弟の死体を見るのは初めてだ、泣いたのか涙のあとが見える、それ以前におびただしい量の血にまみれてるわけだが
「おと、弟に何をしたの」
よろよろと立ち上がり私はお面を見やる
「何を?見て分からないか」
わかるさそんなこと、そうか、弟は朝まで生き延びることができないのか、ルートが悪かったのか、運が悪かったのか……どのみち彼が死ぬなら、私が生きていても仕方がない
手に持ったクナイを翻す、この時私は初めて自害をした