第4章 ところでとうとうヤツが来たんだが
「うわ、変な月」
息が詰まるような思いがして意識が浮き上がり、血を吐く勢いで咳き込む、サスケが横で大丈夫か?と声をかけた
戻ったのか、あたりを見るがすっかり夜でサスケの様子を見るにもう帰るところだろう
72時間だかなんだか知らないが最悪な夢を見ていた気がする、いくらなんでも容赦がなさすぎる
「早く帰ろう」
少し焦った様子で言えば、サスケは不思議そうな顔をして頷いた。おそらく私は死んだのだろう
なんだこれ、というサスケの声も聞かずに私は自分の家に飛び込み物置をあけて弟を見つける
「ね、姉ちゃん?」
「薫、これはゲームよ、捕まったらあなたの負け、逃げて、隠れなさい」
ぎゅ、と抱きしめる、弟は何が何だかわからないという表情でうん、と短く返した
「父さんも母さんも明日の朝には帰ってくるからそれまで隠れてるの、見つかったら逃げなさいね」
「姉ちゃんは?」
「別行動、必ず迎えに行くわ」
頷くのを見届けて私は裏口から家を出る、正面からイタチと戦っても私に勝ち目はない。
生垣を飛び越えて裏の雑木林を駆け抜ける、最初は大きな音を立ててだんだんと気配を消していく、里の外に逃げるか?いや里の外に逃げたところで追いつかれるのが関の山だ
火影亭に逃げ込むか?三代目はうちは殲滅に否定的だったしいくらか庇護を受けることはできるだろう、目的地を火影亭にセットして身を伏せる、うちは区画を仕切る木の板には所々に穴がある、弟と遊びの中でいくつか確認済みだ
壁に着くとそこまで早足で歩く、穴を見つけた、子供一人やっと通れる穴だ。そこを通り抜けて……ふと目の前が暗くなる、死んだか?いや、違う、何かが立ちふさがっている
「ほう、活きがいいな」
聞きなれない声に顔を上げる、お面が見えて私は首根っこを無理やり掴まれた
「ぐっ」
「計画が漏れたか?」
次の瞬間目の前の景色が変わる、うちはの大通りに戻された、神威だ、それを確認した時には既に遅く、私はボールでも投げるように放られた
「イタチ、これはどういうことだ?」
淡々とした声が響く、視界の端にイタチが見える、オビトに捕まったのだ
なんてことだ、どうしてあそこに奴がいる?
私を認めたイタチは何でもないですみたいな顔をする、、と短く名前を呼ばれるが私はイタチを少し見てお面を顔を見上げる
やっぱり詰みだ