第3章 弟を立派な忍に育て上げるぞ!まずは腕立て伏せから!
いや、でもシスイが一緒ってことはそこまで内密でもないのか?うん、多分そうだ、彼はまだ目を取られてないし、死んでもないし、それに彼自身があっけらかんとしているし、嘘がつけるタイプだとは思いたくない、希望的観測がすぎるな
私の腕からほぼひったくるようにして荷物を取り上げ、彼は先を歩いた。ついていかないという選択はないらしい、サスケを探してるんじゃなかったのか?嫌な顔を隠してシスイの背中を見上げる
自分の目が災いして、自ら死を選ぶ彼は本当に忍びであったことに誇りを持てたのだろうか。ふとそんなことが頭をよぎる、彼は故人だ
家の前を通り過ぎしばらく歩いたところ、逆側の門の前に人影が見えた
「お、イタチー!」
ガサガサと買い物袋が音を立てる
「シスイか、サスケは見つか………た、か」
私の存在に気づいたのかイタチの語尾が弱くなる
「いや、大体アカデミー方面じゃない門からは来ないだろう、代わりにちゃんを見つけたから連れてきてやったぞ」
声色からして随分たのしそうに話す、イタチが話したいことというのはそこまで深刻なものではないと見て良さそうだ、とはいえ代わりに私を連れてきたとはどういうこっちゃ、いうがいなや彼は荷物を私の家に届けるからとかほざいてどこかに行ってしまった
私はイタチと二人で取り残される形となった
「……シスイさんって、不思議な人」
たっぷりの皮肉を込めて彼が消えた先に言葉を投げる
「あー、いや、あいつはあいつなりに考えてくれたんだろう……」
あいつなりに?とイタチに視線を向ける、困り果てたような顔をしていた
「えっと、話があるの?」
「………シスイがそう言ったのか?」
聞けばたっぷりの間を取ってイタチが聞き返した
「うん」
肯定すると、今度こそイタチは深い溜息を付いた、なんだなんだ?話が見えてこないぞ?もしかして、シスイは何か勘違いをしてたとか?
「ないなら、私もう戻るね」
そう言って背を向けるとイタチから待ってくれ、と声が聞こえた
「…話がないわけではない」
話がないわけではないの?