第3章 弟を立派な忍に育て上げるぞ!まずは腕立て伏せから!
振り返ると、イタチは緊張したような、困惑したような不思議な顔をしていた
「なに?」
聞けば、あー、だのうー、だの不明瞭な言葉を発する、ここまではっきりしないイタチも珍しく、思わずまじまじと見てしまう
「その、あー、そうだな………」
目が泳ぎきっている、まるで隠して飼ってる猫の存在がバレた子供みたいだ
そう思うとなんだかおかしくって吹き出してしまう
「変なイタチ兄さん、本当に大丈夫?」
こんな子供らしい顔をしたイタチを見てしまうとどうにも変な気持ちになる、胸の奥がこそばゆいような、くすぐったいのだ。
彼は私の弟を殺すのに、どうしてか私の気持ちはふわふわと浮ついてしまう、もしかしたら彼が一族を殺すのは私のただの妄想で、本当はこんな穏やかな時間がいつまでも続くのだと
イタチはそんな私を見て顔をほころばせる
「、話があるんだ、聞いてくれないか」
ほころばせた顔に少しの緊張が混じる
「いいよ、どうしたの?」
いや、この考えこそが私の妄想で
「……、俺は」
現実逃避なんだ
「あ!兄さん!」
声が聞こえて門を見る、サスケが手を振ってこちらに走り寄るのが見えた
「サスケ」
気の抜けた声がイタチから発せられる、顔を見れば、喜怒哀楽いろんな表情が入り混じった不思議な顔をしていた
「兄さん!今日任務は?」
「あ、あぁ、今日はもう終わったよ」
そこまで言ってサスケは私の存在に気づいたのか、私とイタチを交互に見た
「二人共何してたの?」
その顔も面白くて思わず顔がほころぶ
「イタチ兄さんったらサスケがし」
「」
避難するような声が聞こえてイタチを見る、恥ずかしげにこちらを見ていた、可愛いなおい
「俺?俺がどうかしたの?」
サスケは意味がわからないという顔でイタチを見る
「こんな時間まで何をしてたんだ?」
話題を変えるようにイタチが聞く、サスケは修行!と胸を張って答えた、よく見れば体には細かい傷がついており、イタチもそれに気づいたのか帰るか、と息をつく
………ん?結局私のへの話ってなんだったんだろ?イタチの後姿を見る、サスケに会えて嬉しそうだ…まぁ、あまり大した用事でもなかったに違いない、心の中で一人納得して私の家に帰る
数日後の昼、家の前でちょっとした騒ぎがあったと、父親がぼやいていた