第3章 弟を立派な忍に育て上げるぞ!まずは腕立て伏せから!
少しのお金と歯ブラシをもって外に出る、逃げるといっても予行練習のようなものだ、これは毎日やってる散歩だ、手をつないで散歩に出る。巡回ルートはうちはの区画を出てあうんの門を経由し大通りを回って顔岩を添うように歩いて二つ目の大通りを通ってあうんの門を通って帰る
かなりの長距離ルートだが最近ではそこそこのタイムで回れるようになった、これも弟の体力作りの一貫だ。途中のコンビニで買ってもらうお菓子目当てで弟はちょっとした風邪でも行きたがる
「おっ、今日も散歩か?」
「ん!」
門番は気さくに声をかけてくれる、最初こそ危ない危ないと喚きたてたが最近では見逃してくれるようになった
「薫、あのお兄ちゃん達に見つからないように門をくぐるにはどうしたらいいと思う?」
散歩に行くたびに私はこうした質問をする、足音を出さないで歩けたらご褒美、だとか、あのおじさんに気づかれないようにビー玉をポッケに入れたらご褒美、だとかだ
ゲーム形式でやってるので弟はかなり楽しんでいる、この遊びの意図には気づくまい
「んっと、お願いする?」
「それはいい考えだね、でも気づかれちゃダメってルールだから、もうちょっと考えないと」
大通りを歩きながら弟は首をひねらせうんうんと考えている
「分身をつかってこっそり抜ける!」
「おお、それは本当にすごい案だ、薫はできるの?」
むむ~と目をつぶる、できない、という声つきで
「うんうん、でも薫はすごいね」
「ん~、正解は?」
困ったように薫は顔を上げる、私は半笑いで
「それはわからないよ、幻術を使うとか?まぁ完全なものってないからね」
「ご褒美は?」
その言葉に私は今度こそ吹き出す
「ふ、ふふ、そうだね、じゃぁ今日は特別に好きなのを2個買っていいよ」
「ほんと!?」
順調だ、気配に関しては贔屓目に見ずともイタチとも引けを取らないだろう
「もちろん」