第3章 弟を立派な忍に育て上げるぞ!まずは腕立て伏せから!
「あ、イタチ兄さん」
「か」
近づくと薫は人見知りを発動したのか私の後ろに隠れてしまった
「こらこら薫」
「はは、もすっかりお姉さんだな」
すっかり忍者が板に付いたイタチは私を見てそう笑った
「イタチ兄さんはこれから帰り?」
とも思ったが、家とは逆方向に体が向いている
「いや、夜勤だ、サスケがむくれてたよ、は?」
「目に浮かぶよ、これから晩御飯の材料を薫と買いに行くの、ほら、薫、挨拶は?」
言うと、私の後ろからちょこっと顔を出して、こんにちは、と蚊の鳴くような声で言った
かわいい~~~~頭を撫でてやると、イタチがぷっと吹き出す
「そうしてみると、年相応なんだがな」
「そう?私はいつでも年相応なんだけど」
まさか、と声が聞こえて、私は苦笑してイタチを見る
「ところで立ち話してる時間あるの?」
聞くとイタチもあっと顔を上げて慌てた様子で私に手を振った
「お仕事頑張ってね」
言えば、苦笑した面持ちでああ、と返事が返ってきた
「2+2は?」
「4!」
「正解」
宿題のプリントを弟と一緒に解きながら進める
私にとっては楽勝だが弟にはいささか難しいようだ
「5-3は?」
「ん…んーーっと、1?」
「なかなかイイ線行ってるよ」
「うーんとえっと……2だ!」
「正解」
イタチから逃げ切ったあとでもしかしたら薫はひとりで生きていかなくちゃならないかもしれない、そのための準備はなるべく入念にしている。薫はもう一の位の算数はできるし、ちょっとした豪火球のようなもの教えてある、ちっちゃい火の玉程度ならもうできるのだ
「薫はえらいねえ」
頭を撫でると嬉しそうに目を閉じる薫を見て、やはり今から逃げ出した方がいいと結論づけた
「よし、薫、お散歩行こうか」
「うん!行く!」