第2章 子供が愛想ないからって二人目を作るな
「さぁ、ほかに心当たりないし」
というか、死にかけたんじゃない、実際に死んだんだ、そんなことでなんてレベルの話じゃない、それからまたつらつらと考えるように遠くを見ているイタチを下から眺める
早くどいてくれねえかな
「……いつ溺れたんだ?サスケからそんな話は聞いてないが」
私はんん?と首をひねった
「いつだったかな、3年?2年?ぐらい前だったかな」
「おいおい、なんの冗談だ、それが本当ならここは大騒ぎだろう」
私は確かに、と呟いて視線を合わせてきたイタチから顔を背ける
「ねえ、おかしいと思わない?この年齢の子供にしては気味が悪いでしょ?私」
す、と目線を合わせる、薄く笑ってやればイタチの視線が不意に揺れた
「私ね、その時一度死んでるんだ、溺れ死んだの、で、見ちゃったんだ」
じっと見つめる、なにを、とイタチは喘ぐように言葉を吐いた、なにをみたんだ、運動後の汗とは違った何かが彼の頬を伝う
その様がなんだか面白くて、ぷ、と思わず息を吐き出す
「ぷぷぷ……うふ……あははは、ははははは!イタチ兄さんったら変な顔!」
きゃっきゃと笑うと彼は一瞬呆けた顔をしたあとに、困惑と安堵と披露の混じった更に変な顔でため息をついた
「からかうのはやめろ」
「ごめんなさーい、ふふ、気がついたら使えるようになってて、嫌なことがあったのは確かなんだけど覚えてないの」
あの時まで出し方もよくわからなかったし、と加えると、そうかとイタチは息をついた
「あと、そろそろ重いかも」
視線を逸らしながら言うと、一泊おいてイタチがどいた、その手を取って立ち上がる、お互いドロドロだ。それからお互いの家の前まで来て、イタチが口を開く
「何を見たんだ?」
ぶり返された話題に、今度は私が固まる番だった
「納得してないの?」
「もちろんだ」
それは苦笑するしかない、なかなか頭のいい子だ
「イタチ兄さんならきっとすぐにわかるよ」
じゃぁね、手を振ると納得しきれてないような顔をした彼は心ここにあらずといった様子で