第2章 子供が愛想ないからって二人目を作るな
結果的に言えば、私に体術は無理だった
サスケが教えてやるよ!と息巻いたその日に足首をくじいたのだ、こんな調子じゃいよいよもってイタチを対処できないだろうな。サスケはさっきから私の足を心配して周りをウロウロしている
大丈夫だよとさっきから言ってるのだが本人は聞く耳持たずというか、完全にパニックになってるみたいだ。普通に歩けるふりをして、ほら大丈夫でしょ?と笑いかけるといくらか落ち着いたのか困ったような顔をするだけになった
それから家に帰ってひっそりと足の手当をした、大丈夫、サスケには気取られてない…はず
「たや」
はいはい出来るようになった弟が近くに寄ってくる
「あぶぶ」
近くにあった包帯を振り回すのを見ながら、思わず頬がゆるんだ
「こらこら、ダメだよ」
やんわり取り上げると不満そうな顔こそするものの、私をジッと見つめてあう、と声を上げた。かわいい、と思うと同時に、このままじゃまずいと頭を掻いた、私の心は既に彼を守り抜いて自分も生き残るという方針に固まってしまっている。だがその方針を決めるのは余りにも遅すぎる、もうイタチは写輪眼を開眼しているし任務で成果も上げている
10歳の誕生日も近いらしく、あと3年で私があの天才を抜かすことは正攻法じゃ難しい……何かあるとすればこの死に戻りの力を使うことだが、うぅん、それは、とても難しい話だ
なんてったってあの時の一件で私は死ぬのが怖くなったからだ。しばらく水を飲むのにも時間を要したし、水辺を歩くのは今でも無理、いわばトラウマのようなものになったのだ、死ぬのが怖い、生き返ることが分かっていても痛いのは嫌だ。今から逃げるか?いやそれもダメだ、外で生きていくには余りにも弱すぎる
イタチが13歳になる前に力をつけて、弟と一緒にこの里を抜けよう
弟以外なら見捨ててもいい、そう思えたのはやっぱり、親とも仲良くしてこなかった恩恵だろうか