第2章 子供が愛想ないからって二人目を作るな
思わず声をかけるとは全身をこわばらせてこちらの足元に視線をやった。そう、彼女が視線を合わせたがらないのもいつものことだ
俺の存在を認めた瞬間、彼女の呼吸が早くなる、まるで過呼吸のように息を引きつらせ、冷や汗を吹き出している
「大丈夫か?すごい汗だ」
嘔吐くように震えるものだから背中をさすると、やんわりと拒絶の色を示される、最近の彼女はなまじ強引に話しかけても嫌な色を見せなかっただけに少しショックを受けたが、どうやら何かに怯えているようだ
「ご、ごめんなさい、少し気分が、悪いだけなの」
吐き気でもするのだろうか、口元を押さえて必死に視線をさまよわせる
「そうか、一人で歩けるか?」
ここらに怪しい人物でもいたのかもしれない、一緒にいたほうがいいだろう。短く呼吸を繰り返してようやく落ち着いたのか、はようやく俺を見上げた
そして、おそらく皆が見たことはないであろう、恐怖の色を強くにじませた
「あ……あ…」
その時初めて疑問が芽生える、これではまるで俺に怯えてるようではないか?
「?」
不安になって呼ぶ、彼女の目が震える、ひどく怯えているようだ、どうしたらいいだろう
「目…」
搾り出すように出た声で、目?との目を覗き込む、そこに自分が写りこんだ、写輪眼ダダ開きの自分の顔だ
どうして出てるんだ?少し自分を責め立てつつ写輪眼を引っ込める、その瞬間、はついに吐いた
驚いたが見るだけではいられない、大声で嫌がらない限りはと考え背中をさすった
「大丈夫か?」
ひとしきり吐き終わったあと、が顔を上げる、今度は俺が固まる番だった
初めてうちはが開眼するときは大抵写輪眼の模様は一つか二つだ、だが彼女は、完全な写輪眼を開眼している
「、その目…」
最初から完全な写輪眼を開眼した話は聞かない、おそらく以前から兆候があったのだろう、それはいつだ?これはこんな幼子がおいそれと開いていい目じゃない。俺だってついこの間開いたばかりだ