第6章 売れ残りトナカイ
侑「春華ちゃん先輩バイト代入って懐温かいやろ?何か買うて帰ろ。」
春華「その流れ完全にウチが払うみたいになってるやん。」
3人で笑いながら歩く夜道は不思議と体ん中が温かかった。
春華「なんやこれから毎年クリスマスは侑と治と過ごすような気がするわ。アンタらも早く彼女出来るとええな。」
侑「春華ちゃん先輩が彼女になってくれたらええやん?」
春華「いきなり何言うてんの?」
侑「俺、割と真剣なんやけど?」
さっきから会話の途中途中で真剣になるんやめて欲しいわ。中身はアレやけど、顔はええから、性格知っててもドキッとしてしまうやん。
治「春華ちゃん先輩。ツムばっか構わんとって。」
クリスマスの夜のせいか、侑と治の発言に妙にドキドキしてしまう。これは生意気な後輩で男とちゃう。今まで言われた2人の生意気発言思い出して冷静になろう思うたのに、なんや思い返してみれば、腹立たしいと思った筈の思い出は意外と悪くなかったような気がしてきた。そういえば3年になってからの1年間は、2人と馬鹿ばっかやって楽しかったな。
春華「あーもう!しゃあない!好きなモン買うたるわ!」
それを待ってましたと言わんばかりに2人は歓喜の声を上げた。無邪気に笑う2人を見て、こんなクリスマスもありやな、と思ってしもうた。