第5章 特別はどっち?
分かれ道。
春華「トオルもまたね、明日。」
及「まって」
トオルも私の手を掴んで。
及「岩ちゃんだけ抜けがけなんて狡いからね」
冷えた手にはめてくれた可愛らしい手袋。
春華「トオルも、ありがとう。
明日、お返し渡すから」
及「お返しは春華でいーよ」
今度はトオルが、"トオルちゃん"の顔して笑う。
懐かしさと、今の大人っぽさが相まって
元々綺麗な顔に幼さが混ざる。
及「岩ちゃんがなんて言ったかはわからないけど、
岩ちゃんが本気だすなら俺も本気出しちゃうから」
星が降るようなウインクと、ふわりと唇にキスを落として
雪道をかけていく。
特別な日は、特別な人と。
来年、私は誰と過ごすのだろうか。
今日の私はそれを知らない。