第1章 私はもう疲れたよ
『冷めるのは一体いつになることやら』
「オイ、膝に乗るな」
縁側に足を下ろす大倶利伽羅の膝に頭を乗せると、
頭上から手刀を食らう。
そんなことをしながらも、許してくれるのがこの本丸の大倶利伽羅だ。
『いつ、冷めるかなー・・・』
横目で、仲むつまじい二人を見て、
そっと瞼を閉じた。
「・・・さてな」
大倶利伽羅の大きな手が私の目を覆い、
その温もりにどこか安堵しながら、
徐々に意識を手放した。
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「・・・みっちゃん?どこ見てるの?」
主の声にハッとし、視線を主に戻せば、
主は僕の見ていた方角に視線をうつしていた。
「あ、伽羅ちゃんと凪沙さん、仲良くお昼寝してるね」
「そ、うだね・・・」
伽羅ちゃんの膝で眠る凪沙ちゃんの姿を見て、
どこかむず痒くて、
主の言葉にしっかりとした返事ができなかった。
「二人、お似合いだよね~」
楽しそうに笑う主は花のように愛らしい。
「そう思わない?」
「思わないよ」
という言葉を押し殺して、
「うん。とってもお似合いだよ」
と、
笑った。
(あれ)
なんで、そんなこと。
未だに眠る凪沙ちゃんに視線をうつせば、
眠っていたはずの伽羅ちゃんがこちらを見ていて、
何か言いたげに、睨んできた。
「凪沙、起きろ。落とすぞ」
『ん・・・ぅん・・・』
「重い」
『いったぁぁぁぁああ!!!』
伽羅ちゃんに膝から落とされた凪沙ちゃんはそのまま地面に。
『なぁにすんの!?』
「重い」
『それ、女の人に言っちゃ駄目って主言ってた』
「刀に女も男のないだろ」
『オイ脱いだろかここで』
「やめろ」
本当に脱ごうとする凪沙ちゃんの手をなんとか押さえる伽羅ちゃん。
(あぁ)
楽しそうだな。