• テキストサイズ

【刀剣乱舞】それはとても綺麗な【燭台切光忠】

第1章 私はもう疲れたよ



「声かけても反応ないから・・・」

『それはごめん。考え事してた』


苦笑いしながら燭台切光忠が入れてくれたであろう緑茶を口に運んだ。

ひんやりとして火照った身体を冷ましていく。


『夏だなぁ・・・』

「だね」


セミの声がどこからか聞こえて、

蒸れた頭を拭くために、私は麦わら帽子を脱いだ。




『お茶、ありがとうね』

「なんもだよ。入れてくれたのは歌仙くんだし」

『後で礼を言っておこう』

「凪沙ちゃんは、一体ここに何振り目なんだい?」

『5。長谷部の次に顕現された』

「そっか。長谷部くんとは、面識が?」

『あぁ。一緒に織田のところにいたことがある。
先に私が違う主の元へ下ったけど』


懐かしい記憶だ。

あの頃は長谷部は織田に従順であった。

今はどうだか。


『あいつも、気むずかしいからな』

「今の主は、どんな方なんだい?」

『主?うーん・・・』


脳裏に浮かぶ主はなんだか、


『犬、みたいだ』

「え、犬?」

『うん。犬』


主になんたる無礼な、と言われるだろうか。

いやでも犬っぽいんだもの。

お菓子持っていったらしっぽ振ってるように見えるから本当に。


叱責が来るだろうか。


チラリと燭台切光忠を見ると、

クスクスと笑みを浮かべていた。


「確かに。
本丸を案内してくれたときに僕も思ったよ。

とっても愛らしいよね」


目を細めて、愛しい者を見るように言った燭台切光忠。

発せられたその言葉に、

今度は心臓を針で刺された気がした。


『そう、だね』





もしかしたら、

この頃から光忠は、

密かに主に心を寄せていたのかもしれない。



/ 6ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp