第1章 私はもう疲れたよ
肌が焼けるのがわかる。
炎とはこんなにも熱いものなのかと、
彼は、こんな思いで焼け落ちたのかと。
ガクン・・・と膝の力が抜け、
地面に膝をついた私の前には、
瀕死になりながらも、刀を握る時間遡行軍の大太刀。
おそらく、
これが最後の力だろう。
それがわかっていても、
もう、
力は入らなかった。
腹部から流れる大量の血液は、
周りの炎とは違う熱さを持ち、
だんだんと、意識を奪っていく。
「凪沙ちゃん!!!」
耳に届いた、愛しい声。
ふと、視線だけそちらに向ければ、
そこにいたのは、
酷い顔をして、息を切らした伊達男だった。
『なんて、顔してるのさ』
思わず笑ってしまった。
大太刀は刀を構え、
振り下ろす。
伊達男がこちらに走ってくる姿が見える。
私はその姿にただただ笑みを浮かべて、
『主を護れ、光忠』
と、
未来を託した。
(あとは頼んだよ、伊達男)
パキンッ