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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第4章 6月『緊張』






「………すぅ………」



「………やっと寝た。」





あれから兄さんの食器を片付けて、
薬飲ませて、添い寝してあげて……

やっと寝てくれた。


「うんしょ……っと」


力の抜けた兄さんの体を少し押して
ベットから出る。
僕の代わりにソファーにあったクッションを
兄さんの腕の中に入れた。


「……………すぅ」

兄さんはクッションを抱いて少し呻く。
気付かれたかと思ったが、
目は閉じたままだし、
寝息も聞こえる。



「………ふぅ。」

時刻はもうすぐお昼だ。
学校ではそろそろ昼休みの時間。

兄さんの携帯を持ち出して、
また廊下に向かった。



「電話くるかな…。」










キッチンにあったお菓子を食べながら
電話を待っていると、
兄さんの携帯が鳴った。

かかってきた先は『悟郎』。
………もとい、真田先生だ。


「もしもし、先生?」

『……もしもし、?
あの、今朝はごめん。
俺、何も知らずに怒鳴ったりして…。』

「いえ、僕が連絡していなかったのが
悪いので。申し訳ありませんでした。」


ちゃんと悟郎から事情を聞けたらしい。
今朝とは違い、真田先生は
少々落ち込み気味である。



『それで、その…草薙の調子はどうだ?』


「今は眠っています。
ちゃんとお粥食べたし、薬も飲んだし…
明日には治るかと。」


『そ、そっか。はぁ……良かった。』


僕の言葉で安心したのか一息が漏れる。
兄さんのこと、心配してくれていたんだ。


『ああ、えっと…それも気になってたんだけど
……その、。
体育祭、どうするかなって思って。』


「…………………。」


やっぱり、その話だよね。
今日は、それを決める日、だから。

僕が黙っていると真田先生は
勝手に話を進めていく。

『いや、あの、別に
強制しているわけじゃないんだ。
ただ、俺、お前もちゃんと
クラスの一員だって皆に分かって欲しくて…』


きっと僕が出るって言ったら、
B6の皆、びっくりするだろうな。

それで、それを聞いた南先生は
B6に詰め寄るだろう。



…それでも、いっか。


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