第11章 12月『聞こえなかった兄の声』
(真田視点)
「…なんだ、あれ?」
ある日の下校時刻。
渡り廊下に人だかりが出来ていた。
「何かあったのかも…。
真田先生、行きましょう。」
「そうだな、俺も気になるし。」
たまたま近くにいた南先生と
人混みの中に突撃した。
生徒達の間を通ると、
罵声が聞こえてきた。
「何それ……意味分かんない!
離れた方がいいだなんて!おかしいよ!」
「そうだろーが!
本当は……俺達B6の事軽蔑してるだろ!
お前は、B6にいるべきじゃねぇ!」
「軽蔑、なんか!してない!」
あの声は……………、
草薙と、?
何が起こってるんだろう。
「一君!喧嘩はダメよ!」
先に人混みを掻き分けた南先生が
声を上げる。
「……先生?」
俺も遅れて人混みから出る。
そこで俺は、
初めて兄弟喧嘩というものを
目の当たりにした。