第10章 11月『王子様の超越』
あれから2週間。
学校は一気に文化祭モードになり、
その準備は着々と進んでいた。
「…『息を吹き返すこともなく、
死んでしまった白雪姫の元に、
王子が現れました。』」
「……『な、なんて……美しい…姫なんだ。
………顔をもっとよく、その、見せて…
欲しいというか…えっと…』あー、無理。」
「はぁ…草薙君…。
もうちょっと声大きくね。」
「あと、どもりすぎ。噛み噛みだし。」
「………ごめん。」
僕の台詞合わせは
難航を極めていた。
「……草薙の台詞、減らそうぜ。
じゃないと進まないし」
「そうね。…3つくらいなら
言えそうかしら。」
「………多分。」
「分かったわ。」
僕の出番は1番最後。
そして台詞は10個あったうちの
3つに絞られた。
「はい、これでいいはず。
草薙君はとりあえず空で噛まずに
言えるように個人練習ね。
他のみんなで最初から
合わせてみましょう。」