第7章 8月『Side story with B6』
「………つばさー。」
「………なんだ?」
隣のベッドに座っている翼に声をかける。
翼の枕だけ僕らのと違う。変な袋に
真四角の何かが入っている。
「この飛行機、アイスある?」
僕がそう聞くと、翼は指を鳴らした。
「永田、Ice creamだ。2つ用意しろ。」
「かしこまりました、翼様。」
「あ!ゴロちゃんも食べたーい!」
「オレ様も寄越せ!」
「………じゃあ俺も頂く。」
「永田!制定だ。5つ用意しろ。」
「………、かしこまりました。」
……訂正の間違い、かな?
永田さんの一瞬の間が
翼が間違えたことを
物語っている。
………このくらいなら僕も
突っ込まないけどね。
「兄さんはいらないの?」
「俺はの
ちょっと貰うからいいぜ。」
「……ふーん。」
少しして金ピカのアイスが届く。
皆それぞれ手に取った。
「…何これ…パラッペ金ピカなんだけど…」
悟郎が天井の電気にアイスを透かす。
アイスは照明に反射して四方八方に
光を散らした。
「コレってェ〜、歯で噛むと
痺れるやつじゃねェのォ?」
キヨもドン引きだ。
っていうか、よく知ってるね。
その豆知識。
「これ……1万はするでしょ、翼。」
僕が呟くと、瞬がアイスを
大事そうに抱えた。
「1万!?……ほぼ半月の食費だぞ!!
それを………ただの夕飯後のアイスだと…?」
「アイス、そんなに抱えると溶けねぇか?」
「し、しまった!!」
兄さんに言われて瞬が慌てる。
主夫にとっては、重要な金額らしい。