第5章 7月『ピアノとBBQ』
いつもの放課後。
兄さんと翼と僕でバカサイユで喋っていると
悟郎がゼーハー言いながら入ってきた。
…………ちなみに、
翼の座っているソファーの端では
瑞希がいる……寝てるけど。
「あっついあっついあっつ〜い!!
ポペラ暑いよ!もう夏だよ夏〜!!!」
悟郎はだらけたようにソファーの後ろから
兄さんにもたれ掛かる。
「うわっ!?悟郎!くっつくな暑いだろ!!」
「えーー!?いいじゃんちょっとくらい!
ツバサ!ゴロちゃんにも
なんか飲み物ちょーだい!」
兄さんの膝に座っていた僕は
2人に巻き込まれないように
立ち上がって、翼の方のソファーに座る。
「………永田、Drinkだ。」
「……かしこまりました、翼様。」
悟郎が永田さんから飲み物を受け取るやいなや
一気に飲み干す。
本当に喉が乾いていたらしい。
「……暑いのはしょうがないよ。
今日から7月だし。」
僕が読んでいた本を開くと、
瑞希が僕の手から本をひょいと取り上げた。
「…………………。」
瑞希は黙って僕から本を取り上げ、
それを枕にウトウトと寝始めてしまった。
「………瑞希、あのさ、それ………」
「…ぐぅ………。」
「…後で返してね。」
「…………すぅ……すぅ………。」
完全に寝てしまい、本を読むのを諦めた。
瑞希、たまに僕の本を取り上げる癖
やめて欲しいな。
……まぁ、そういう本はいつも
あんまり面白くない本だから
いいけどさ。
「…そういえば、もうすぐ七夕だね。」
黙ってるのも暇だし、皆の会話に参加する。
ぼそりと呟くと、
悟郎に抱きつかれている兄さんが頷いた。
「あ、そういえばそうだな。」
「ホントだ!もういくつ寝ると〜」
「七夕〜……って、ん?なんか違うぞ。
字余りか?」
……悟郎の歌ってる歌は正月の歌だし、
兄さんも字余りじゃなくて字足らずだし………。
言いたいツッコミをジュースと一緒に
ごくり喉の奥に流し込んだ。