第4章 6月『緊張』
「………、知ってたのか?
担任のコレを……。」
翼の顔は完全に引きつっている。
その理由は目の前にあるダークマターにも
あるのだが、
それを食べた僕にも同じ視線が向けられている
「………僕、中等部の頃に
バレンタインに謎の塊を
貰ったことがあるから……。」
「もう!何言ってるの。
塊じゃなくて生チョコだって
言ってるじゃない!」
南先生のチョコは凄かった。
可愛い箱の中に四角い何かがゴロゴロと
入っていたのだ。
女子ならまだ分かるが、
一人暮らししている先生が
そんな事をするなんて思いもしなかった。
「知ってるなら最初からそうと言えヨ!
ヴァーカ!!」
「………ごめん。
一応アドバイスしたから
マシかと思ったんだ……。」
キヨが僕に悪態をついて、
僕は仕方なく謝った。
「アドバイスってなに?」
「ああ、あれよね!B6は
『軽く焼くくらいのレアな焼き加減が好き』
でしょう?」
「………………。」
「明らかにレアじゃねぇだろこれ!
ウェルダンっつーか炭だぜ炭!」
兄さんが具材をひとつつまむ。
その瞬間具はサラサラと塵になって
飛んでいってしまった。
それを見た翼の拳が震えている。
あ、限界みたいだ。
「山田だっ!!山田を呼べー!!
即刻作り直させろーーー!!!」