第5章 Fourth
「紺子ちゃん、珠香ちゃん、久しぶり!」
「久しぶり、朱音ちゃん!」
「元気そうだね!」
紺子の母親の好意により、車で白恋中まで乗せてもらうことになっていた。その間車内では、お土産兼クリスマスプレゼントを2人に渡しながら談笑していた。それぞれの近況報告から始まったが、最終的には吹雪の話に落ち着いた。
楽しい時間というのはあっという間で、気がつけば白恋中はもう目の前であった。
「紺子ちゃん、珠香ちゃん。今回は、本当にありがとう!」
「いいよ、そんなの!」
「そのかわり、吹雪くんとのこと、あとで聞かせてもらうから!」
「いつまでいるんだっけ?」
「29日の夜には帰るの」
「なら、その前に聞かないとね!」
「んだね!」
紺子の母にも丁重に礼を言った後、朱音たちは白恋中の前で別れた。腕時計に目をやると、7時前である。呼び出してもらった時間は7時半であるから、まだ時間はある。けれど朱音は、迷うことなく敷地内に足を踏み入れた。