第5章 Fourth
無機質なアラーム音で目を覚ました朱音は、一番に、ここが自室でないことに瞬間的に違和感を覚えた。しかしそれも一瞬のことで、自身が今、北海道にいるという事実を思い出すと、意識は完全に覚醒した。そして、時計に目をやりながらベッドから離れると、すぐに支度を始めた。
時間的余裕は十二分にあったが、何か不備があってもいけないと思い、素早い支度を心がけた。そして、昨日服を着てきたのは正解だったと、キャリーケースの中を見つめながら思う。やはり、一晩でもたたんで入れてあると、折り目やシワが目立つ。これから吹雪に会うというのに、シワの目立つ服ではなくてよかったと思いながら、身につけていく。一通り支度が整うと、浴室の鏡に向かい、あまり慣れないがメイクを施す。この日のために、多少なりとも練習はしてきたのだ。
予定通り、1時間ほどで支度を終えた朱音は、少し早いがチェックアウトをすると、ホテルの向かいのコンビニエンスストアに行き、ペットボトルのお茶と菓子パンを購入した。食べる時間があるかは定かではないが、念のため、である。
その後20分ほどして、紺子と珠香は紺子の母親が運転する車に乗り、朱音を迎えに来てくれた。