第5章 Fourth
吹雪は他人を待たせる人ではない。たとえチームメイトとの約束であっても、彼ならば既にいてもおかしくはない。更に、夜中から明け方にかけて降ったのであろう真新しい雪の上に、一筋続く足跡があった。彼だと確信を持った朱音は、その足跡のすぐ隣に新しい足跡をつけながら向かうのだった。雪に慣れない朱音の歩幅は狭く、更に恐る恐る進んでいるためまっすぐなど歩けない。はじめこそ、綺麗に並んでついていた足跡も、気がつけば朱音の方だけパラパラとばらけてしまっていた。しかしそんなことを気にしている余裕もない。雪用にと購入したふくらはぎまであるスノーブーツのおかげで濡れたり滑ったりはしないが、やはり歩くので精一杯である。
歩いているのは、グラウンドへ続く道であるが、校舎の影になる場所のためか、少々薄暗く、風が吹けば身震いするほどの寒さを感じる。早く日向に出てしまいたい、と何の気なしに顔を上げると……。