第4章 Third
20時前、時刻通りの出立のため、到着までは1時間半程度。ヘッドフォンをして目を閉じていた朱音だったが、頭に浮かぶのは吹雪のことと、今回のサプライズのことばかりで、眠気はない。仕方がないので、眠るのは諦め、明日以降のことを考える。空港に到着すると、すぐにホテルに向かうのであるから、仮に今眠れなくてもあまり問題ではないのだ。
吹雪と話して決めていたのは、朱音が25日の朝に東京を発ち、お昼に合流する、という予定だった。しかし朱音は、せっかくのクリスマスなのだから、とサプライズを考えた。それがこの、24日の夜に発ち、25日の朝一で会いに行く、というものである。
どのような手段で吹雪を呼び出すかというと、白恋中の友人、荒谷紺子と真都路珠香に事前に連絡を入れてある。彼女たちに頼んで、25日の早朝に、白恋中に彼を呼び出してもらったのだ。確かに吹雪に伝えたとという旨のメールは既に受け取っているため、あとは朱音がそこに行くだけである。
1週間前、練習後に秋と話したときのことを思い出す。
「しかもね、今回はクリスマスだから、私から吹雪くんにサプライズ、するんだよ」
「サプライズかぁ……どんな?」
「実はね、紺子ちゃんと珠香ちゃんとも連絡を取っていてね」
「そうなの?」
「ふたりにお願いして、吹雪くんを呼び出してもらう予定なんだよ」
「わぁ! 素敵ね!」