第2章 水曜日の今日子
すごく良い夜空を見上げ個性の充電ためになるべく影にならないような道を選びつつさくさく歩いていると人の声がうっすらと聞こえ始めた。
ここまで1時間以上歩いたが誰にも会わなくて不安だったので喜び、小走りで通りに向かう。
「や、やめてくださいっ!どなたか…!」
そこには和服姿の男女3人でなにやら揉めている様子だった。
「こんな時間にこのような所を歩いているとは、元々誘っておったのだろう?」
「そうだ、酒くらいつがせてやると言っておるのだ」
どうやら女性は男性2人に絡まれている様子だった。
嫌がる女性の手首を掴み引っ張っていた。
助けに行きたいのは山々の今日子だが、自分はまだヒーローの卵である学生の身分。
仮免は取ってはいるものの正式な許可も無い自分がこうしてヒーロースーツを着て外に出ている時点でほぼアウトである。
「こうなったらあの手で……」
今日子はその場に寄ってき女性の腕を取ると2人の男性は今日子を見つめる。
「待った?ごめんね!じゃあ約束してた場所に遊びにいこっか!」
物語の主人公が女の子を助けるシーンの如く、待ち人を装い彼女を連れ出す算段に出た今日子。
しかしどうにも男性は女性から手を離さず。
「なんだぁ貴様のその格好は。貴様も誘っておるのか」
「まさあ俺たち侍の言うことを聞かぬ訳がなかろうな?」
と迫られ始め今日子は思い出した「このパターンで成功した作品は目にしたことがありませんでしたね」と。
今日子は覚悟を決めて女性の手首を掴む手を手刀で叩き落とし、離すことに成功すると「行ってください!」と女性の背中を押す。
女性は「ありがとうございます!」と雪に足を取られつつも遠くへ逃げていった。