第8章 敵襲
「待つんじゃ、マルコ」
「なんでだよぃ」
一刻の猶予もないんじゃなかったのかよぃ、なぜ止める。
「闇雲にあいつらを探すつもりか?
それはいくらなんでも無謀というもんじゃろ」
「じゃあジジイは知ってんのかよぃ。
麦わらの一味の居場所なんて」
「…おおよその見当ぐらいはついておる」
「何…?」
「ここから南に100キロ程行ったところに居るという噂があるんじゃ。
まずはそこに行ってみるのも良いんじゃないか。
闇雲に動くのはそのあとでもの。
それと親父にはワシが伝えておいてやるわい。
お前さんは早う行け」
「…分かったよぃ、ジジイ。
助かる」
熾天使を抱え、医務室を出ようとする。
「おい、待つんじゃ」
「まだ何かあるのかよぃ」
「荷物をなにも持たずに出掛けるつもりか」
「当たり前だよぃ。
特に必要なもんもねェ。
一刻を争うんだろ、行動は早ェに越したことはねェよぃ」
「まぁ、お前さんがそういうんなら良いじゃろう。
くれぐれも気をつけてな」
「言われるまでもねェよぃ」
熾天使を背中に背負うと、甲板へと向かった。
「お、マルコ。
ナツキをどうするんだ?」
「エースか、詳しいことはジジイに聞いてくれ。
俺は先を急ぐんだよぃ」
背中に負担をかけないよう、翼だけを炎に変える。
「少し辛ェだろうが、待ってろよぃ。
俺が必ずお前を助けてやるよぃ」
南に向かって進んでいく。