第3章 安心
「ってェな…」
「知らないもん!」
硬い床に背中から落ち、マルコが痛そうに声を上げた。
「マルコのバカ!変態!」
「俺も今のはマルコが悪いと思うぞ。
すげー痛そうだけど」
「なんだよ…」
ぶつけた腰をさすりながら起き上がると、今も尚顔を赤くしているナツキと目が合う。
「マルコなんか焼けちゃえ!焦げろ!」
「はぁ?おい!熾天使!」
「知らない!
エース、行こ?」
「え?
風呂は良いのか?入らなくて。
その為に来たんだろ?」
「そんな気分じゃないの!」
「やれやれ、すぐ熱くなるところはまだまだ子供だねぃ。
エース、悪いが少し頼んだ」
と、エースにだけ伝わるように呟いた。
「あ、おう」
大きな衝撃音を聞きつけたクルー達が浴室に訪れたのは、ナツキ達が去ったほんの少し後。
「あいつ、焼けろとか焦げろっつたかよぃ?
俺の能力が炎なのを知ってか、あいつ自身が炎に関係するのか…」
「何分かんねーこと言ってんだよ、マルコ。
ナツキちゃんをあまり怒らせてやるなよ。
せっかくの可愛い顔が台無しだ」
「煩せェよぃ、サッチ」
「そうだよ、マルコ。
女の子は繊細なんだ。
もう少し優しく接してあげないと」
「イゾウまで…」
「あとで謝りに行くことだな?
にしても凄いな、ナツキちゃん。
何度も何度もマルコを飛ばすなんてさ」
「あぁ、まぁねぃ」