第16章 繰り返される悪夢
「今から大佐の元に集まんなきゃいけねーのに、書類なんか読んで余裕だな、お前」
振り返れば、帽子を目深にかぶった金髪の男。
後ろに居たのに気づかなかった...。
これが戦いだったら...と肝を冷やしたがバレないように平然を装って話を合わせた。
「ちょっと調べ物があって...」
「そうか。
今からなら間に合う、行くぞ」
「あ、ちょっと...!」
男には腕を引かれ、強制的に書庫をあとにした。
大佐の元に行くってこと...?
男が脚を止めたのは、豪華で大きい扉の前。
それをなんの躊躇いもなく開けた。
中に居たのは海兵。
中央を開けるようにして、列になって並んでいる。
「お前、来て間もねェのか?
とりあえず大佐に目つけられたくなかったら、目を合わせるな」
「どうしてそこまでしてくれるの?」
「新入りを教育すんのが先輩の役目だろ?」
ニッと笑う。
当然だけど、海兵の中にも良い人は居るんだな。
この人のこともあり、少しだけ基地を崩壊させるのを躊躇う自分が居た。
そんな揺らぎも、次の瞬間には跡形もなく消え去った。
ギィ...と音がして、扉が開く。
聞こえて来たのは機械的な振動音と、吐息。
首と手脚に錠をつけた裸の女性達が入って来る。
女性の陰部には変な機械が入っていて、それが振動音の元らしかった。
「女は奴隷じゃない......」
ポツリと呟いた。
怒りで、隣に居る男の口元が狐を描いたのに気づくことが出来なかった。