第16章 繰り返される悪夢
目の前に居る相手は本当にマルコなのだろうか。
そう疑える程に、扱いは荒く、粗末なものだ。
「聞いて...マルコは誤解してる」
「聞かねェ」
「話......どこから...聞いてたの?」
ついには抵抗する気力もなくなり、されるがままの状態。
「......お前がエースにエッチしたくなるか問い掛けた時からだ。
サッチに促されて様子見に来たら...」
最悪な気分だよぃ、と息を吐く。
中途半端なところから話を聞かれて、変に誤解を生んだ。
その誤解を解くことすらも許されない。
話を聞いてくれないのだから。
「マルコ、あのね、エースとは...っ」
「煩ェよぃ」
顎を掴まれ、強制的に口を開かされた。
何をするつもりなのだろうか。
考えるのも疲れた。
早く、終わってくれないかな。
「噛むなよ」
口の中に何かが侵入して来た。
開かされていた口はそれを簡単に受け入れる。
口一杯に埋め込まれたそれは大きく、汗の匂いがした。
「...はっ...っ...」
後頭部に手を置かれると、口の中にあった何かが動き出した。
前後動き、後ろに引かれれば口内は楽になり、深く突き立てられればそれが喉の奥にまで達し、嘔吐く。
飲み込むことの出来ない唾液が溢れ、口端から零れ落ちる。
口内を支配し、喉を突くそれに頭がガンガンする。
苦しい。
苦しくて、涙がジワリジワリと目を覆う布を濡らす。