第15章 釣りと魚と好き嫌い
「嫌...マルコ...したくない......」
ワンピースに手を掛けられ、抵抗しているのに簡単に脱がされた。
「マルコ...お願い......」
マルコの手と、あの時の男の手が重なる。
怖い。
露になった素肌にマルコの骨張った手が這わせられる。
「っっ...」
「目ェ瞑って、俺をエースだと思ってろよぃ。
体格だけはエースと似てるだろ。
声は出さねェようにするから」
エース...?
「や、なんで...」
「エースに抱かれたいんだろ?」
「ちが...」
「話、聞いてたっつったろ?」
誤解だ。
完全に誤解されている。
なんとかして誤解を解かないと。
「マルコ、話を聞いて」
「拒絶の言葉なんか聞きたくねェよぃ」
「ひっ......」
ヌルリとした感覚が胸を這う。
視線を少し落とせば、マルコが舌で胸の突起を舐めているのが見える。
「やだ、お願い、やめて」
「黙ってろ」
マルコの声が、重く心に響く。
マルコの腰に巻かれていた紫色の腰紐を解き、手で乱暴に引きちぎった。
ビリッと布の破ける音が響き、心臓が嫌な音を立てる。
2つに切られた布の片方を目隠しに、そしてもう片方はナツキの手首を縛り、ベッドに括りつけた。
「っ、や、外して!」
視界を奪われ、自由を奪われ、より一層恐怖心が増す。
何も見えない真っ暗な世界。
あるのは恐怖と、不安。
どうしてこうなったの...?
ねぇ、マルコ...。