第14章 花の都
その日は疲れて、早めに眠った。
色々あり過ぎた。
「ゆっくり休めよぃ」
髪を撫でられ、意識が遠のく。
やっぱり撫でられるのは心地良い。
夢を見た。
まだ私が幼かった頃の夢。
懐かしい。
でもなんで今思い出すんだろう...。
マルコの優しさがそっくりだったからかな。
「起きろよぃ、そろそろ時間だ」
「ん...ぅ...」
身体を揺すられ、目を覚ます。
「あれ...?」
「朝メシの時間になるよぃ。
起きなくて良いのか?」
「...起きる」
「ナツキ、お前なんで泣いてるんだよぃ」
「へ?」
目元に触れると、確かに温かい水が手に付着した。
「悲しい夢でも見てたのか?」
「ううん、凄く懐かしい夢。
辛くないから大丈夫よ」
「そうか」
些細なことまで気にかけてくれるマルコ。
本当、優しいな。
「親父に話したんだが、風呂場をもう1つ増やすそうだ」
「良いの...?」
「あぁ、親父の判断だ。
それともう1つ部屋も作るらしい」
「部屋まで?」
それではお金が多くかかってしまう。
大丈夫なのだろうか。
「心配することねぇよぃ。
部屋っつっても空きスペースに作るから小さくなっちまうが、それでも構わねぇか?」
「もちろん!ありがとう!
あとでお礼言いに行かなきゃ」
「次の島で作って貰う。
部屋の場所は俺の隣だ。
少し狭いがスペースがあるだろ?
そこに作る。
風呂つきの部屋をな。
だから次の島で欲しいもん買いに行くよぃ」
マルコの言葉に、次の島に着くのが楽しみになる。