第3章 安心
白ひげの言葉に絆され、船に残ることを決めた。
娘と言われたことがとにかく嬉しかった。
皆私を怖がるか、利用しようとする人しか居なかったそれまでの人生。
もう誰かから愛されるのは不可能だと思っていた。
「グララララ、良い目になったなア。
ナツキ、俺の娘だ」
「娘…」
ポンポン、と優しく頭を撫でられるその手に、言葉に、頬が緩む。
あんなに1人で生きて行くことにこだわっていたのに、単純だ。
でも悪い気はしない。
「白ひげさん」
「ん?どうしたァ?」
「もっと撫でて欲しいです、頭」
「グララララ、お安い御用だとも」
離れた手は、再び私の頭の上に戻って来る。
あったかい、凄く安心する。
「凄い変わりようだねぃ。
俺の時とは大違いだ。
どうだ?親父は良い親父だろ?」
「そうね」
「この船には残るかぃ?」
「今それを聞くのは卑怯です……」
「どうなんだ?」
「…残ります」
「決まりだねぃ」
「じゃあ宴か!?歓迎会!!」
「お前ェは食いたいだけだろぃ」
「ま、でも家族も増えたことだし良いだろ。
俺何か作るぜ」
「待ってました!サッチ!」
「エース、お前は調子良過ぎだよぃ」
「あ、俺エースだ。
どうぞよろしく」
「あ、ナツキ…です」
「おう、ナツキだな。
よろしくな!」
敵意のない、人の良い笑顔を向けられた。
この人は裏表のない人なんだろうな。
「俺はサッチだ」
「ジョズだ」
と、皆名乗っていく。
一通りの自己紹介が終わったところで、もう1度名乗る。
「ナツキです、よろしくお願いします」
「「「おう、よろしく!」」」
そして料理とお酒が運ばれて来る。
どれも美味しそうだ。