第8章 summer memory③
国見くんからその話を聞いて、私はふつふつと思いが湧き上がるのを感じた。
「関わる資格が無いって・・・なに?」
自分が関わらないでほしいって言ったじゃない。
勝手に壁作って、酷いことして突き放したつもりかもしれないけど、
そんな風に私のこと思ってたら・・・
踏み込んでいいわけないのに、
それでも触れたいって、思っちゃうじゃない・・・!
「馬鹿、ほんと及川さんって・・・馬鹿・・・」
馬鹿すぎて笑えちゃう。
笑えるくらい、彼を想っている自分自身にも・・・。
あぁ、ほんと、好きだなぁ、及川さんのこと。
「国見くん」
私は滲む涙を拭って口を開いた。
「私、がんばる」
触れたい・・・触れたい・・・
あなたがどれだけ私を遠ざけても、心の中を覗かせてほしい。
その哀しみがどんなものかはまだわからないけれど、
私に何が出来るかなんて、一つしかない。
あなたのこと、抱きしめたい。
この気持ちがただ私を突き動かすの。
「岩泉さんの連絡先・・・教えてくれる・・・?」