第7章 summer memory②
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この受け取った手紙を及川さんに
渡すか、渡さないか、
いやいやそこは渡せよ預かったんだしってツッコミたくもなるでしょうけど、ちょっと考えさせてください。
だって、あんな綺麗な人からの手紙だよ?
あの人、絶対及川さんの元カノとかそんな感じの人だったじゃん。恋愛物語の定番だよ。
それでこの手紙の中身・・・絶対に及川さんが動揺すること書いてあるよ。女の勘はここまでわかる。
及川さん、彼女いないって言ってたし、この手紙を機にあの女の人と〜なんてことになったら私は・・・
「完全に失恋じゃん」
自室に帰って机の上に置いた手紙を睨んだあと、うだるように私は天井を仰いだ。
(わかってる。頼まれたものはやり通さないと人間としてダメだって言うのも。・・・だけど)
これを渡した時、及川さんはどんな顔をするんだろう。
中身を見たあと、どんな顔で、私を見るかな・・・・・・
そんな事を考えてしまう。自分本意な考えだなぁ・・・
ふるふると首を振って、手紙を持ち上げ、少しでも中身が透けて見えないか電気にかざしてみる。
なーんにも、見えないや。
「渡してみるしか、ない、か・・・」
でも、今日はやめておこう。及川さん、バレー部の飲み会で遅くなるって言ってたし・・・
明日渡しても、いいよね・・・
そう思ってその手紙を、再び机の上に置いたのだった・・・ーーー