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おかえり〜I'm home〜(R18)

第6章 summer memory①





及川さんは恐怖から解放されて脱力する。

「だはぁー、何が子供向けだよ!馬鹿みたいに怖いじゃん!」

肩で息をしながら、及川さんはスタッフさんに抗議した。

いや、多分子供向けだったよ?最初の方は私も雰囲気にビクついたけど、及川さん見てると終始冷静でいられた。

「いやぁお疲れ様です!お兄さんの悲鳴、良かったです!そんなに怖いの逆に見てみたーいって、ちびっ子たちが今結構入っていったんですよ〜。いい宣伝になったし本当、ありがとうございました!」

死装束のスタッフさんは、青白いメイクをした顔を破顔させて笑った。その顔がまたしても怖かったのか、私の手を握る力が強まった。

そう、まだ繋いでるの、この人。繋いでること、気づいてないんだろうなぁ。

「最近蒸し暑かったし、いいリフレッシュになったね」

「ほんと、お前馬鹿じゃないの!?2度と入んないかんねっ」

「あ、及川さん、後ろに髪の毛の長い女の人が・・・」

「ぎゃーっ!もうほんとやだ!!」


及川さんは後から突き飛ばされたようにモール内を走り出した。私の手をきつく握ったまま・・・

私はいつまでも、笑いが止まらなかった。



もうだめ、だめだよ、我慢出来ない。
自分の気持ちに嘘がつけない。

この人と一緒にいると、こんなに楽しい。

この気持ちに、名前を付けずには居られなかった・・・




(及川さん・・・)


意地悪、わがまま、ナルシスト・・・

だけどバレーが上手で、ご飯を美味しそうに食べて、涙脆くて、お化けが苦手でお酒が入ると甘えん坊になる・・・


これ以上一緒にいると、どんどん及川さんの魅力を知ってしまう。

このままじゃ、

このままじゃ、きっと好きになる・・・隠すことなんて、出来なくなりそうだ。



全速力で駆ける及川さんと、繋がれた手を見ながら、

私は密かに・・・彼に恋をしていた。





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